テーマ2の、北海道大学・野田隆史教授らのグループによる論文が発表されました。
雑誌名: Scientific Reports
タイトル: A framework for quantifying the relationship between intensity
and severity of impact of disturbance across types of events and species
執筆者名: 岩崎藍子(所属:北海道大学大学院環境科学院)、野田隆史(所属:北海
道大学地球環境科学研究院)
DOI: 10.1038/s41598-017-19048-5
〇論文の内容
撹乱(急激な環境の悪化)は生物個体群(生物の同種の集団)の急激な減少をもたら
す。これが撹乱の生物個体群に及ぼすインパクトである。これまで様々な種類の撹乱
-たとえば台風、寒波、津波-が多様な生物種の個体群に及ぼすインパクトが包括的
に評価されたことはない。なぜなら「異なる種類の撹乱では撹乱の物理的強度が比較
できない(たとえば、台風の「風速」と寒波の「温度」は比較できない)」ことと、
「個体群の変動性が異なる種間では撹乱のインパクトは比較できない」ためである。
そこで、これら2つの問題点を「撹乱の物理的強度」と「撹乱による個体群減少率」
を再起時間(生起頻度の逆数)に変換することで解決し、撹乱の生物個体群へのイン
パクトの大きさがどのように決定されているかを包括的に評価する新たな方法を提案
した。この方法を適用して、東北地方太平洋沖地震によって生じた津波が岩礁潮間帯
の固着生物へ及ぼしたインパクトの大きさを評価したところ、津波の強度は他の様々
な種類の撹乱と比べても極めて大きかったにも関わらず、岩礁潮間帯の固着生物へ及
ぼしたインパクトは比較的小さかったことが明らかになった。
〇問い合わせ先
野田隆史 (北海道大学 大学院地球環境科学研究院 教授)
〒060-0810 札幌市北区北10条西5丁目 北海道大学 大学院地球環境科学研究院
環境生物科学部門 生態保全学分野
TEL: 011-706-2241(大学直通)
EMAIL: noda@ees.hokudai.ac.jp