メーユと赤浜クンの新青丸見学レポート
企画・構成:水川薫子 (東京農工大学)
協力:清家弘治 (東京大学大気海洋研究所)
新青丸は東北海洋生態系調査研究船として東北マリンサイエンス拠点形成事業―海洋生態系の調査研究―のために淡青丸の後継船として作られた学術船です。
10月19日、晴海埠頭で行われた一般公開はあいにくの曇り空でしたが、それでも堂々とした存在感を示していました。
こんにちは、メーユです! 今日はこれまでにもいろんな船に乗って研究をしている赤浜クンにお話を聞かせてもらうよ。 赤浜クン、よろしくおねがいします!
こんにちは! メーユちゃん、今日はこちらこそよろしくね!
それではさっそく船の中を見てみましょう!
操舵室~第一研究室
最初にやってきたのは操舵室。 ここで船を動かすんだね。 方位磁針や海図 (海の地図) も置いてあるね。
赤浜くん、神棚があるよ!?なんでこんなところに??
これは「こんぴらさん」とよばれてるよ。 航海の安全を出港時にお祈りをすることもあるんだ。
さらに奥に進んだら大型プリンターがあったけど…。 これまたどうしてこんなところにあるの?
海底地形や物探データを大きく印刷するのが目的だよ。 それをもとにディスカッションや作業計画を練るってわけ。
なるほど!このプリンターも調査の必需品なんだね!
いろんな機器とそれを扱う船員さんたちに支えられて研究ができるんだね!
船の中の実験室
赤浜クン、この実験台や壁にいっぱいある金具はなんでしょう?
これは,荷物が動かないように固定するためのものだよ。 この金具の輪っかにロープを通して、そのロープを使って実験機材を縛り付けて動かないようにするんだ。 海が荒れても、この作業をちゃんとしておけば物がひっくり返ることはないから安全なんだよ。
固定しないと船の中がしっちゃかめっちゃかになっちゃうもんね! とても大事な金具なんだね!
このずらりと並んでいる棚はなにかな?
手前から順に、-80℃冷凍庫、薬品用冷蔵庫、製氷機、流しをはさんで家庭用の冷蔵庫だよ。
いろんな種類の「冷やす」ものが必要なんだね!
いろんな研究者が乗船するからね! 冷やすと言えば、新青丸にはこんな部屋もあるんだよ。
この部屋は何の部屋?
この部屋はサンプル保管庫で、冷凍室・冷蔵室がそれぞれあるよ。 淡青丸の場合は部屋全体が保冷庫というのはなかったんだ。 食糧庫にサンプルを入れておいていただくこともあったらしいよ。 新青丸では大きなサンプルも専用の保管庫で遠慮なく保冷できるから、とても良くなったよ!
思う存分、調査ができるようになってよかったね!
生活空間
ここは食堂ですね!カーテンや椅子がかわいい!
淡青丸の時よりもだいぶ広くなってうれしいなぁ。
狭いときはどういうところが不便だったの??
狭いときは研究者全員が一度に食事できなかったから、交代で食事をしてたんだよ。 人の入れ替わりも大変だったんだ。 新青丸では乗船研究者全員が同時に食事できるから、楽しい食事&情報交換が頻繁にできそうだよ!
他にも生活面で変わった点はあるの?
それはやっぱりここかな。
お手洗い?いたって普通の男子トイレだけど…?
そう、「男子」トイレ。 淡青丸の時は男女別にトイレが分かれていなかったんだよ。
えええっ!! お手洗いって男女別があたりまえだと思ってたけど…!
お手洗いに限らず、新青丸では女性専用の洗濯機・トイレ・風呂が新たに作られたよ。
女性用の洗濯機は女性専用部屋にあるみたい。 女性研究者の数が昔に比べると増えているからこうする必要があるんだろうね。
細かい配慮がされているんだね! 女の子としてはうれしいな♪
ところで研究者は航海中どんな部屋にいるのかな?
今日は公開してないけど、これはすこし前に新青丸の中を見せてもらった時の寝室の写真だよ。 寝室にはベッド、テレビ、冷蔵庫、机、ゴミ箱があるよ。 この写真の部屋は2人用だけど、学生用の4人部屋や、主席研究者用の一人部屋もあるんだ。
淡青丸と比べて変わったことはあるのかな?
あるよ!甲板の作業の様子が居室で視聴できるようになったんだ。 船内の無線LANから自前のパソコンやタブレット(たとえばipad)で船外カメラ動画が見えるんだよ。 だから、居室での休憩中に何かあったとしても、すぐに甲板に駆けつけることができるんだ!
タブレット!!ハイテクな時代になったもんだねぇ!
連続観測が始まると、なかなか寝られなくなってツライんだけど、このシステムがあれば自分に関係のある観測の時だけ起きていればよいからとっても楽なんだ。 淡青丸の場合は時々デッキに上がって「そろそろかな?」と確認しなくてはいけなかったんだよね。
それはとてもうれしいね! 他にも写真はある?
もう一枚あるよ。 これは娯楽室。 テレビを見たり、漫画や本などを読んだりするための部屋だよ。 長い航海だと気分転換にけっこう重要なんだ。
ずっと船の中にいるってどんな感じだろうと思ってたけど、こういう空間もあるんだね♪
甲板
最後に甲板に出てきました! ウッドデッキが印象的な広い空間です。 浮き輪に母港の「大槌」の文字が入っていますね♪
あっ、メーユちゃん、あそこにあるのがCTD採水装置だよ。
CTD採水装置?それはなぁに?
CTDというセンサーが下についていて、深さや水の塩分・温度を測定しながら採りたい深度で水を採水することができる機器だよ。 最大24本採水器を設置できるようになってるんだ。
一回海に入れると何本も試料を採れるのね!
このCTDにはレールで甲板を移動させることができるようになっているんだ! これも研究者にとってはうれしい仕様だね。
レールがないときはどうやっていたの?
淡青丸では甲板を濡らして滑りやすくしてから研究者が手で押して移動させてたんだ。 結構大きくて重いから,特に海が荒れている時は移動させるのが危ない場合もあるんだよね。
新青丸、いろいろな面で安全になっているんだね!
おわりに
以上で見学はおしまいだけど、メーユちゃん、どうだった?
研究船の中の様子や新青丸のいいところを赤浜クンの解説付きでじっくり見学できてたのしかったよ!
新しい研究船でどんな調査が行われて、どんな発見があるのかわくわくするね。
新青丸の初航海ももうすぐはじまるよ。 その様子はまた報告するのでどうぞお楽しみに!