岩手県大槌町と国際沿岸海洋研究センターについて岩手県大槌町について三陸復興国立公園の中央から少し南に位置する岩手県大槌町は、面積がほぼ200km2、その大部分が山に囲まれた自然豊かな町です。
町はナスの形をしていて、その南東の端のヘタの部分が海に面し、その東方に世界三大漁場の一つと言われる北西太平洋海域が広がっています。 海岸線は出入りの激しい典型的なリアス式海岸で、町内を流れる大槌川、小鎚川が大槌湾に注いでいます。 町はサケ、アワビ、ウニ、ホタテ、ワカメ、など豊かな海の幸に恵まれ、漁業が産業の中心になってきました。 大槌湾 大槌町の山間部に降り注いだ雨水は海岸近くの平野部で“湧水群”として噴出する一方、その一部は“海底湧水”として大槌湾に直接流入しています。 清澄な湧水は住民の飲料水として利用されるだけでなく、サケの人工孵化事業や水産加工業など、様々な産業を支えてきました。 また、湧水域は20度以下の清澄な水のみに生息できる淡水型のイトヨを育み、美しい大槌の環境の象徴となっています。 大槌川水系の源水川 遠くに見えるのは 「ひょっこりひょうたん島」の モデルとされる蓬莱島 大槌町は東日本大震災によって壊滅的な打撃を受けましたが、復興に向かってさまざまな取りくみを行っています。 森・川・海の「水の循環」の維持と、産業の発展を目指し、町の人々と共に「循環・共生型社会の構築」を進めつつあります。 http://www.town.otsuchi.iwate.jp/岩手県大槌町公式サイト 国際沿岸海洋研究センターについて岩手県大槌町にある国際沿岸海洋研究センターは、1973年に東京大学海洋研究所附属の「大槌臨海研究センター」として設立されました。 2003年4月に組織改編により東京大学大気海洋研究所附属の「国際沿岸海洋研究センター」(沿岸センター)となって今に至ります。 全国共同利用研究施設として、国内外から一年にのべ4000~5000人日の研究者や学生を受け入れています。 国際沿岸海洋研究センター(震災前) 蓬莱島はセンターの目の前です。(2013.5) 様々な分析機器類や観測機器類、さらに船舶(グランメーユ、赤浜、チャレンジャー、弥生)を備えており、世界有数の臨海実験施設として、大槌湾を中心とした様々な観測、研究に大きな貢献をしてきました。 また、地域に開かれた研究センターとして、海の日の一般公開や出前授業などを通じて海についての様々な情報を提供するとともに、地元の方々に海を知って頂く機会としてきました。 東北地方太平洋沖地震とそれによる津波によりセンターも3階の窓まで水没し、大きな被害を受けました。 現在は3階の一部を仮復旧させ、調査・研究を行っています。 研究船も全て流されてしまいましたが、現在は上記の4隻が使用できるようになりました。 震災後も子どもたちとのイベントや、研究活動が活発に行われています。 国際沿岸海洋研究センター(2011.3.11) 市民公開講座(2013.10.12) さらに、2013年1月に退役した学術研究船「淡青丸」の後継船として建造された「新青丸」は大槌港を船籍港とする東北海洋生態系調査船です。 「東北マリンサイエンス拠点形成事業」に必要な調査研究を、最先端の観測機器・研究設備によって効率的・効果的に行うことができます。 私たちは大槌町と沿岸センターを拠点に海洋研究を進め、やがては日本中・世界中から研究者がやってくる 海洋研究の国際拠点として復興させていくことを目指しています。 「グランメーユ」 ■グランメーユは有限会社須賀ケミカル産業 による震災後の建造第1船です。 国際沿岸海洋研究センターについては インタビュー「研究者に聞く」 第6回 大竹 二雄 代表「町と共に歩む、新しいセンターを目指して」もご覧下さい。 |