研究題目海藻群落・海草群落と底生動物群集の関係に関する研究調査地大槌湾・鮫浦湾(泊浜)
テーマ番号(各班の番号)2研究実施者(氏名・所属)早川淳・河村知彦(東京大学大気海洋研究所)
キーワード藻場, 底生動物, 種多様性, モニタリング, 生態系研究内容(目的・方法) 三陸地方の沿岸では、岩礁域にはコンブやアラメ、エゾノネジモクなどの大型褐藻類やマクサなどの小型紅藻類など様々な海藻類が、砂浜域にはアマモなどの海草類が大規模な群落(藻場)を形成しています。これらの藻場は様々な底生動物にとって重要な生息場となっており、植物そのものの消長が群落内の底生動物の個体数や種組成に影響を及ぼします。津波によって大きな撹乱を受けた沿岸域において、生態系の回復過程や底生動物の種多様性の変化を考える上では、それらの植物群落と底生動物の動態の関係性を明らかにすることが重要です。
本研究では、大槌湾と牡鹿半島泊浜において大型褐藻類やアマモ類などの植物群落を対象に、その季節的な消長と群落内の動物群集の変動をモニタリングしています。加えて、震災前後での底生動物群集の種組成の変化を調査し、エゾアワビやウニ類といった水産重要種を含めた底生生物の種間関係を明らかにすることで、藻場の生態系の維持要因・変動要因を解明することを目指しています。
参考文献
- 河村知彦・高見秀輝・早川淳・村岡大祐・玉置仁. (2017) 大槌湾周辺における東北地方太平洋沖地震後の海洋生態系の変化:東北マリン拠点形成事業(プロジェグランメーユ)による取り組みとその成果.三陸沿岸の岩礁藻場における地震と津波の影響およびその後の変化.Nippon Suisan Gakkaishi, 83, 672-676.
- Kodama, M, Kawamura,T., Nakamoto, K., Ohtsuchi, N., Hayakawa, J., Kitagawa T. and Watanabe, Y.(2017) A comparison of amphipod assemblages between canopy and understory stratain seaweed and seagrass beds off the coast of Otsuchi Bay, Japan. Biodiversity Journal, 8, 471–473.
- Muraoka, D., Tamaki, H., Takami, H., Kurita Y. and Kawamura, T.(2017) Effects of the 2011 Great East Japan Earthquake and tsunami on two kelp bed communities on the Sanriku coast. Fisheries Oceanography, 26, 128-140.